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私にとっての四万十川は赤鉄橋のある風景。沈下橋で有名な佐田(中村市)に来てもピンと来ない。川面に映る深いみどりは美しい。でも、私の中の四万十川はここではない。沈下橋のある風景が四万十川の象徴のようになっているのは少し残念。だって、日本の他の川にも見られるものだし、日本の川の上流域はどこも大体同じ。
最近、「原風景」という単語をよく目にする。この川のある風景がその代表的なもののひとつであるらしい。都会から来た友達が静かな雨の中、川めぐりをし、ぽろっと「中国の秘境みたい」とつぶやいた。私は、あぁと思った。おそらく、人の心の中に何があるかで目にする風景の捉え方は変わってくる。
フランス語で四万十川の「かわ」は"fleuve(フルーヴ)"の方。漢字の「河」の感じかな。海まで注ぐかわは"riviere(リヴィエール)"とは言わない。四万十川の素晴らしさは、川が人の生活の中でまだ生きていることだといわれる。人々の毎日の生活に根ざしていて、人が川にかかわって暮らしている点だと。
四国山脈の一筋の流れが196kmを経て、太平洋に注ぐ。
その端から端までに、いったいいくつの姿を私たちに見せてくれているのだろう。
hiver 2001
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